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2023年09月10日

SynologyにActive Directoryを利用する


Synologyサーバが1台の時はローカルユーザで総てを管理すれば良いのですが、複数台になると

・ユーザ管理はLDAP又はAD(Active Directory)

・アクセス権は個々のSynologyサーバ

で管理するのが望ましくなります。

ここではSynology社のAD「Synology Directory Serve」を利用する方法を解説します。

<目次>

1.ADを構築する前の確認事項

2.Synology Directory Serverの構築

3.SynologyサーバへのADの適用

4.ドメインユーザにユーザホーム機能を与える方法

5.ローカルユーザからADユーザへの移行方法

 

1.ADを構築する前の確認事項

1.ローカルユーザの必要性

ADでユーザ管理をしても、ローカルユーザのサーバ管理者だけは残しておいて下さい

理由はADユーザが機能するは、ADが稼働している時だけでこれが停止するとDSMに入れる管理者が居なくなるためです。

 

2.DNSサーバの確認

ADの各種ドメインは「DNS Server」の中で管理されます。

よってパッケージセンタの「管理」にある「DNS Server」をインストールしてください。

インストールすると下記アイコンが追加されます。

■上記のアイコンをクリックし「ゾーン」メニュを見てください。

■始めは何もありませんが「ADが立ち上がったり」、「配下のコンピュータが追加される」とこの中にレコードが追加されます。

 

3.ドメイン/LDAPの確認

ADユーザを各Synologyサーバに割り当てるアプリケーションです。

コントロールパネルの下記アイコンを開いてください。

■始めは何も登録されていませんが、ADが立ち上がるとここにAD情報が追加されます。

 

4.NTPサーバの確認

NTP(Network Time Protocol)は正しい時刻情報を取得しサーバに配信する仕組みです。

コントロールパネルの下記アイコンを開いてください。

■デフォルトの「NTPサーバ」は「time.google.com」です。

■ADに管理された2台目のサーバは、ADサーバの「NTP」を見に行く様に変更されます。

 

2.Synology Directory Serverの構築

1.Synology Directory Serverのインストール

パッケージセンタの「管理」にある「Synology Directory Server」をインストールします。

下記アイコンが追加されます。

 

2.Synology Directory serverの設定

1)Synology Directory Serverの起動

表示されたメニュから「ドメインの作成」をクリックします。

■設定のウィザードが起動させます。

2)ドメイン名とワークグループ名の設定

■ドメイン名

ドメイン名には.(ドット)で区切られた2つ以上の名前が必要です。

例:HNW.COM

■ワークグループ

ユーザの表示形式は「ワークグループ名\ユーザ名」になります。

よってワークグループ名は短い単語が良いです。

例:AD

■Administratorのパスワード

AdministratorはADのデフォルト管理者IDです。

パスワードを設定して下さい。

­ ­メモ

IDの「Administrator(大文字小文字の区別をします)」は、他のSynologyサーバにADを適用する時に利用するIDです。

しかしこの名称は誰でもが知っているIDなので、新たな管理者を作成しこのIDを無効化する事もできます。

以上を設定し「次へ」で先に進み「ドメインの作成」ボタンを挿入します。

以上でADが構築されます。

3)確認

①コントロールパネルの下記アイコンをクリックしてください

■上記で設定した内容が表示されます。

②DNS Serverも同様に見てください。

新しいゾーンが追加されています。

 

3.グループの登録

デフォルトで色々なグループIDが設定されますが普通は使わないグループ名です

重要なものは下記の2つだけです。

グループ名

意味

Domain Admins ドメイン管理者グループ

DSMの管理者は、このグループに所属させる必要があります。

総てのフォルダとアプリケーションを利用可能に設定します。

Domain Users ドメインユーザ

管理者も一般ユーザも登録されるグループ

よって一般ユーザのアクセス制御に利用できません

Domain Usersは一般ユーザのアクセス制御に使えないので新たなグループが作成します。

グループ名

意味

AD Users 一般ユーザが所属するグループ

利用を許可するフォルダとアプリを指定します。

AD Usersの登録

■「追加グループ」で下記を登録します。

■グループ名は「AD Users

■説明は「一般ユーザ

「OK」ボタンを挿入します。

以上でグループ登録は完了です。

 

4.ユーザの登録

①「追加ユーザ」で下記を登録します。

■上記は管理者として登録した例です。

■デフォルトではパスワードは42日で失効するようになっています。

そこで上図では失効させない所にチェックしています。

「次へ」で先に進みます。

②管理者で登録する場合

■2ページ目にある「Domain Admins」にを付けます。

③一般ユーザで登録する場合

■1ページ目にある「ad users」にを付けます。

「次へ」で確認画面が「完了」ボタン挿入でユーザの追加が完了します。

­ ­メモ

パスワードの有効期間等の設定は「ドメインポリシー」の所で設定できます。

 

3.SynologyサーバへのADの適用

2項でADを構築しましたが、このADを適用するサーバには下記の2種類があります。

1.ADが立ち上がっているサーバ

2.その他のサーバにADを適用する

上記の違いにより操作方法が異なります。

1.ADが立ち上がっているサーバでの操作

1.各グループに権限を付与する

①コントロールパネルから下記アイコンをクリックします。

②下記画面が開きます。

下記画面の「ドメイングループ」タブを開きます。

 メモ

上図の様に1台目のSynologyサーバはADが自動設定されます。

よってADをやめる場合は、パッケージセンタから「Synology Directory Server」をアンインストールします。

③「ドメイングループ」タブを開きます。

■「Domain Admins」の設定

ADの設定では管理者は「Domain Admins」グループに入れましたが、これだけではDSMの全操作に権限を持った訳ではありません。

そこで「Domain Admins」を選択し「編集」ボタンを挿入します。

総ての「フォルダ」と「アプリケーション」にアクセス許可を与えます。

■「AD Uses」の設定

「AD Uses」をを選択し「編集」ボタンを挿入します。

アクセスを許可する「フォルダ」と「アプリケーション」にアクセス許可を与えます。

以上でこのサーバでADが利用可能になりました。

2.その他のサーバにADを適用する

注意

DSM7で構築したADをDSM6に設定する事は可能ですが、DSM6で構築したADをDSM7に設定する事はできません。

1.コントロールパネルを開いて下さい

下記アイコンをクリックします。

2.ADへの接続を行います。

下記画面が表示されます。

■上図の「参加」ボタンを挿入します。

1)下記画面が表示されます。

■「サーバアドレス」にADサーバのIPアドレスを入力します。

次へで先に進みます。

2)下記画面が表示されます。

①ADの「管理者ID」と「パスワード」を入力します。

②「DSN Server」のIPアドレスを入力します。

「次へ」のボタンを挿入すると確認作業が走りADの設定を完了します。

3.各グループに権限を付与する。

設定方法は「ADが立ち上がっているサーバでの操作」と同じです。

 

4.ドメインユーザにユーザホーム機能を与える方法

この操作は1台目のサーバでも2台目のサーバでも設定が必要になります。

ローカルユーザの時と同様にADユーザにもユーザホーム機能を設定する事ができます。

①ドメインユーザタブを開きます。

上記の「ユーザーホーム」ボタンを挿入します。

 

②下記画面が表示されますので✔を付けて下さい。

以上でADユーザにもユーザホーム機能がONになりました。

 ­メモ

この状態のままだと一般ユーザにも「homes」フォルダが見えてしまいます。これを

管理者:「homes」と「home」フォルダを見せ、読み書き権限を持たせる

ユーザ:「home」フォルダのみを見せ、読み書き権限を持たせる

為には下記の設定を行います。

 

③コントロールパネルから共有フォルダアイコンをクリックする。

 

④homesフォルダを選択して「編集」ボタンを挿入します。

■「homes」を選択後、「編集」ボタンを挿入します。

 

⑤下記が表示されます。

<全般タブの設定>

■「マイネットワークでこの共有フォルダを非表示にする」にを付けます。

以上でNASをSMBでマウントした時に「homes」フォルダは総てのユーザから見えなくなります。

しかし管理者だけには見せたいので下記の設定を行います。

<高度な権限タブの設定>

■上図の「高度な共有権限」ボタンを挿入します。

表示された画面から「ドメイングループ」を選択します。

■「Domain Admins」にR/W権限を付与して下さい。

以上で管理者だけが「homes」が見え、一般ユーザには「home」フォルダのみが見える様になりました。

 

5.ローカルユーザからADユーザへの移行方法

1.ログイン方法

SynologyのDSM、WevDAV、VPN、Photo Statinにログインできるのは「ローカルユーザ」又は「ADユーザ」になりますが両者に同一名が存在するか否かで挙動が異なります。

■同一名が無い場合

ユーザ名だけでログインすると、ローカルユーザにこのユーザ名が無い為、ADユーザを検索してログインしてくれます

■同一名がある場合

ユーザ名だけでログインすると、ローカルユーザにユーザ名があるのでローカルユーザでログインされます。

ADユーザでログインしたい場合は下記になります。

■ワークグループ名\ユーザ名

 ­私の設定例

「ローカルユーザ」と「APユーザ」に同一ユーザ名で登録するのはお勧めしません。

私はローカルユーザにはサーバIDのみを登録し、バックアップやADの設定等はこのIDを利用しています。

システム管理者及び一般ユーザは総てAPユーザとして登録し、各種アプリケーションへのログインは「ユーザ名」のみでログインする方法を採用しています。

 

2.個人フォルダの移行方法

個人フォルダの保存場所と移行方法

■ローカルユーザ:homesフォルダ直下のID名の下に保存されます。

■ADユーザ      :homesフォルダの中の「@DH-ADMIN」の中にID名が作られ、その下の保存されます。

 ­移行方法

File Stationを2つ立上げ、ドラッグ&ドロップでコピーします

 

3.Note Stationデータの移行方法

Note Stationのデータは「システム情報」と「Note Stationアプリ」が関連付けられて保存されています。

よって個人フォルダの様にドラッグ&ドロップは使えないので、移行方法は下記になります。

①ローカルユーザでログインして、Note Stationからデータをエクスポートします。

「××××××.nsx」というファイルが作成されます。

②ADユーザでログインして、Note Stationを立ち上げ、上記ファイルをインポートします。

これでデータ移行が完了します。

 

4.WevDAVアクセスをADユーザに移行する方法

WebDAVのアクセス権はコントロールパネルの下記アイコンから設定して下さい。

ユーザ名がローカルユーザ名にない場合は、ユーザ名だけでADユーザ名としてログインできます。

上手く接続できない場合は、Windowsを再起動した後、再度ログインして下さい。

 

5.VPNアクセスをLDAPユーザにする時の注意点

VPNのアクセス権は「VPN Server」の全般設定にあります。

全般設定を開き「アカウントタイプ」を「ドメインユーザ(AD)」にして下さい。

 

6.Photo StationアクセスをADユーザにする時の注意点

Photo Stationは独自にユーザ管理を持っています。

デフォルトではローカルユーザとドメインユーザが見れるようになっています。

ドメインユーザに管理者権を与える場合は、Photo Stationの設定画面に入ってドメインユーザに管理者権限を与えてください。

以上でこのドキュメントの説明は完了です。

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